| |
SHUNさん、ようこそ。
デューラーの『祈る手』の模写ですね。 この作品は健康的で美しい手を描いたものではありません。 酷使してひん曲がってしまった手指、その手が敬虔な祈りをささげているという 感動を描いたものでしょう。(それが見る者の心を打ちます) 理想的な手(指)とは対極にあるのですが、それを感動(美しさ)に高める表現が デューラーの芸術なのでしょうね。
と、まぁ慣れぬ講釈は置いてデッサンの話です。
模写の場合にはいろいろ「お手本」から読み取ってください。 手前の手(左手)の左側に光が当っているのがわかるでしょう。 ○全体では左右方向に「暗−明−暗」の構成になります。これで両手の間の空間まで表現しています。 ○親指以外のすべての指がひとつの方向を指し示しています。祈りが神に届くように、です。 この流れ(動勢)を読みとらねばなりません。 ○この大きさ・形の用紙に描かれたものか後に切り取られたものかは知りませんが、構図がほぼ完璧です。
SHUNさんの模写のほうは、上記の3点だけみてもずいぶんと平坦な(あるいはバラけた) 感じになってしまいました。
結局、普通のデッサンでも同じなのですが、見えるものをそのまま描くのではなく それまで気づかなかった何かを「発見」できたかどうかが大切なのですね。 皺や血管に目を奪われてしまうと、もうひとつ大きなものが見えなくなってしまう ということがあります。 作品のメリハリ(トーンの幅)もふくめて、要所を見直して再度挑戦してください。
なお、デューラーの作品は灰色(中間調)の紙に黒炭と白チョークで描かれています。 |