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「なにげなく」、といいますか「さりげなく」という感じも大切だと思うのです。 私の好みからいいますと「わざとらしく」では表現になりません。
たとえば人物画における衣服というのは、 布が絵画に登場する典型的なひとつのかたちであるわけですが、 衣服の各部分によって役割は大いに異なります。それぞれの分担があるのですね。 そこを押さえれば骨を感じる部分、肉を感じる部分、 あるいは空間(空洞)しか感じない「自由」というか「不安定」な部分。 それぞれの表情が一体となって衣服に包まれる人物の表現を支えます。 これにその人物の動きや背景などが加われば、さらに風や空間の雰囲気にまで及ぶわけです。
「なにげなく」置かれた布にも表裏がありますし、また押さえて抵抗のある部分(机そのもの)と押さえて崩れる部分(浮いたところ)、長方形の辺にあたる部分、角にあたる部分など・・・表現に使えそうな部分はいろんなかたちで隠されているわけです。 これを「さりげなく」(作為を感じさせずに)引き出すのです。
・・・と、説明するのは簡単なのですがこれが難しいことは経験上私にもわかっております。<笑> |